山火事はそもそも落雷などによって古来より発生していた自然現象です。山火事は、森林を破壊することで新たな樹木が更新する場を提供したり、土壌中の養分循環を促すなど、健全な森林の維持へ重要な役割を果たしてきました。
しかし近年、人間活動により山火事の頻度や強度 (撹乱レジーム)が変化し、森林への影響が報告されています。また、将来的に予想されている乾燥化によって、山火事の頻度や強度が増加するとともに、発生場所も変化すると考えられています。
私たちの研究グループは、山火事が森林へ及ぼす影響メカニズムについて研究しています。また、そうした基礎研究で得られた知見を活かして、現在進行形で起こっている山火事の撹乱レジームの変化が、森林をどのように改変するのかを科学的な根拠のもとに理解・予測したいと考えています。
● 炭に注目した研究
私たちのグループの研究によって、山火事後に新しい樹木がうまく更新するためには、山火事発生時に作られる炭が重要な役割を果たしていることがわかりました。また、炭は土壌中の微生物やミミズなどの土壌動物の活動も活性化し、土壌の養分循環へも大きな影響を及ぼしていることもわかってきました。
「炭」は、台風や地すべりなどの他の攪乱では生成されません。山火事は「炭を作り出す」というユニークなプロセスにより、独特のメカニズムで森林の構造や物質循環へ影響を及ぼしているようです。
一方、そうした炭が植物の更新や養分循環へ及ぼす正の影響は「山火事の頻度が増加する」あるいは「強度が高まる」場合に失なわれてしまうことも示唆されました。つまり、山火事の撹乱レジームが人間によって増加すると、炭の変化を介して森林の更新が悪影響を受けることも懸念されます。
● 落葉の形と燃えやすさの関係に注目した研究
現在は、これまでは山火事が発生していなかったが将来的に増えて行くと予想される森林生態系において、多様な樹木の可燃性がどのように異なっているのかを明らかにすることで、山火事が発生する・発生時に燃え広がるリスクが高い森林の見える化を目指しています。
主な参考論文:
Bryanin, S.V., Abramova, E., Makoto, K. (2018) Fire-derived charcoal might promote fine root decomposition in boreal forests. Soil Biology & Biochemistry. 116: 1-3.
Pingree, M.R.A., Makoto, K., DeLuca, T.H. (2017) Interactive effects of charcoal and earthworm activity increase bioavailable phosphorus in sub-boreal forest soils. Biology and Fertility of Soils. 53: 873-884.
Makoto, K., Shibata, H., Kim, Y.S., Satomura, T., Takagi, K., Nomura, M., Satoh, F., Koike, T. (2012) Contribution of charcoal to short-term nutrient dynamics after surface fire in the humus layer of a dwarf bamboo-dominated forest. Biology and Fertility of Soils. 48: 569-577.
Makoto, K., Kamata, N., Kamibayashi, N., Koike, T., Tani, H. (2012) Bark-beetle-attacked trees produced more charcoal than unattacked trees during a forest fire on the Kenai Peninsula, Southern Alaska. Scandinavian Journal of Forest Research. 27: 30-35.
Makoto, K., Hirobe, M., DeLuca, T.H., Bryanin, S.V., Procopchuk, V.F., Koike, T. (2011) Effects of fire-derived charcoal on soil properties and seedling regeneration in a recently burned Larix gmelinii/Pinus sylvestris forest. Journal of Soils and Sediments. 11:1317-1322.
Makoto, K., Choi, D.S., Hashidoko, Y., Koike, T. (2011) The growth of Larix gmelinii seedlings as affected by charcoal produced at two different temperatures. Biology and Fertility of Soils. 47: 467-472.
Makoto, K., Kim, Y.S., Tamai, Y., Koike, T. (2010) Buried charcoal layer and ectomycorrhizae cooperatively promote the growth of Larix gmelinii seedlings. Plant and Soil. 327: 143-152.
しかし近年、人間活動により山火事の頻度や強度 (撹乱レジーム)が変化し、森林への影響が報告されています。また、将来的に予想されている乾燥化によって、山火事の頻度や強度が増加するとともに、発生場所も変化すると考えられています。
私たちの研究グループは、山火事が森林へ及ぼす影響メカニズムについて研究しています。また、そうした基礎研究で得られた知見を活かして、現在進行形で起こっている山火事の撹乱レジームの変化が、森林をどのように改変するのかを科学的な根拠のもとに理解・予測したいと考えています。
● 炭に注目した研究
私たちのグループの研究によって、山火事後に新しい樹木がうまく更新するためには、山火事発生時に作られる炭が重要な役割を果たしていることがわかりました。また、炭は土壌中の微生物やミミズなどの土壌動物の活動も活性化し、土壌の養分循環へも大きな影響を及ぼしていることもわかってきました。
「炭」は、台風や地すべりなどの他の攪乱では生成されません。山火事は「炭を作り出す」というユニークなプロセスにより、独特のメカニズムで森林の構造や物質循環へ影響を及ぼしているようです。
一方、そうした炭が植物の更新や養分循環へ及ぼす正の影響は「山火事の頻度が増加する」あるいは「強度が高まる」場合に失なわれてしまうことも示唆されました。つまり、山火事の撹乱レジームが人間によって増加すると、炭の変化を介して森林の更新が悪影響を受けることも懸念されます。
● 落葉の形と燃えやすさの関係に注目した研究
現在は、これまでは山火事が発生していなかったが将来的に増えて行くと予想される森林生態系において、多様な樹木の可燃性がどのように異なっているのかを明らかにすることで、山火事が発生する・発生時に燃え広がるリスクが高い森林の見える化を目指しています。
主な参考論文:
Bryanin, S.V., Abramova, E., Makoto, K. (2018) Fire-derived charcoal might promote fine root decomposition in boreal forests. Soil Biology & Biochemistry. 116: 1-3.
Pingree, M.R.A., Makoto, K., DeLuca, T.H. (2017) Interactive effects of charcoal and earthworm activity increase bioavailable phosphorus in sub-boreal forest soils. Biology and Fertility of Soils. 53: 873-884.
Makoto, K., Shibata, H., Kim, Y.S., Satomura, T., Takagi, K., Nomura, M., Satoh, F., Koike, T. (2012) Contribution of charcoal to short-term nutrient dynamics after surface fire in the humus layer of a dwarf bamboo-dominated forest. Biology and Fertility of Soils. 48: 569-577.
Makoto, K., Kamata, N., Kamibayashi, N., Koike, T., Tani, H. (2012) Bark-beetle-attacked trees produced more charcoal than unattacked trees during a forest fire on the Kenai Peninsula, Southern Alaska. Scandinavian Journal of Forest Research. 27: 30-35.
Makoto, K., Hirobe, M., DeLuca, T.H., Bryanin, S.V., Procopchuk, V.F., Koike, T. (2011) Effects of fire-derived charcoal on soil properties and seedling regeneration in a recently burned Larix gmelinii/Pinus sylvestris forest. Journal of Soils and Sediments. 11:1317-1322.
Makoto, K., Choi, D.S., Hashidoko, Y., Koike, T. (2011) The growth of Larix gmelinii seedlings as affected by charcoal produced at two different temperatures. Biology and Fertility of Soils. 47: 467-472.
Makoto, K., Kim, Y.S., Tamai, Y., Koike, T. (2010) Buried charcoal layer and ectomycorrhizae cooperatively promote the growth of Larix gmelinii seedlings. Plant and Soil. 327: 143-152.